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エンタメ系プロ江原弘泰が描く国内テニス未来予想図とはーー

2021.05.07|17:00|投稿者: 岡田洋介
エンタメ系プロ江原弘泰が描く国内テニス未来予想図とはーー

今年でプロ12年目を迎えた江原弘泰は、選手活動の合間に高校テニス部を訪問したり、プロ選手が出場する新形式のイベント「プロテニスリーグ」に参画したりするなど、ここ数年、プロテニスプレーヤーとしての活動の幅を広げてきた。江原に、それらの活動にかける思いを聞いた。

どうすれば観客を呼べるかの答えが部活動応援企画だった

江原弘泰は、根っからのエンターテイナーだ。「赤をどこかに身にまとわないと正直テニスができない。このラケットは僕のやる気を引き出してくれる」という彼は、ヘッドの赤ラケ『プレステージS』を手にコートを縦横に駆け回って戦う。粘り強くボールを拾いまくり、機を見てフォアで強打。ときに感情をあらわにしてファイトする彼のプレースタイルは、観る者を惹きつける何かを持っている。

江原弘泰選手

「どんな大会でも、試合に勝った時は喜びを感じるようにしています。あとは、やっぱり観客やファンの方に喜んでもらうことがプロとして大事」(江原)

「僕は大舞台では悪いテニスをしたことがありません。観客が多ければ多いほどいいプレーができる。自分がいいテニスをして、観客を喜ばせるためにも、もっともっとファンを増やしていきたい」という江原は2019年秋、ファン拡大のための行動を起こした。それが高校のテニス部を訪問する部活動応援企画だった。

――江原選手が部活動応援企画を始めたきっかけは?

「僕はそれまで国内で開催されるテニス大会に人が集まらないことに、プロとして残念な気持ちを抱いていました。どうすれば観客を呼べるのかを考えた結果、僕が出した答えが部活動応援企画でした。高校のテニス部や大学のテニスサークルに僕が顔を出して一緒にテニスをして、1人でも多くの人にファンになってもらいたいという思いで始めました」

――実際に部活動に参加して、高校生たちの反応は?

「それまでプロの試合はテレビでしか観たことがないという生徒がほとんどですから、実際にプロの打球を見せるだけで“うわぁ、すごい!”と感動してくれます。僕が本気で打った球を一人ずつ受ける形の体験レッスンが大好評でした。その後に僕のSNSをフォローしてくれたり、応援していますと言ってくれたりする子もいましたから、活動の出だしとしてはいい感触を得ていました。

本当は2019年秋から1年間続けて、そこでファンになってくれた高校生たちが2020年秋の全日本選手権を観に来てくれればいいなと思っていました。でも、10校くらい訪問した段階で(新型コロナウイルス感染症拡大防止のため)活動を休止せざるを得ない状況になってしまいました」

選手のキャラクターを知ってもらえばファンを増やせる

コロナ禍の昨年春、江原は中断した部活動応援企画の代替案として「コロナに負けるな! 30秒チャレンジ」という動画を自身のインスタグラムで公開。学校が休校・自宅待機となったり、大会が中止になったりして目指していた目標を失ってしまった高校生たちに向けて、腕立て伏せや縄跳び、腹筋など自宅でできる7種類のトレーニングで回数を競う企画を提案し、参加を呼びかけた。また江原は、今年2月の「プロテニスリーグ第1回プレイベント」に立ち上げ発起人として参画するなど、国内テニスを盛り上げるための活動を積極的に行っている。

イメージ

「僕は埼玉出身なので、部活動応援企画はまず埼玉県の高校から始めました。その後、SNSで活動を知った高校生から連絡をもらって、という形もありました」(江原)

――昨年春の「コロナに負けるな! 30秒チャレンジ」の反響はどうでしたか?

「反響は結構ありました。高校生だけでなく大学生からもコメントが届いたり、ジュニアのお母さんから、縄跳びをやらせたほうがいいのですかと質問が来たりして、よりファンとのつながりが増えたと思います」

――当初、高校生たちを呼ぼうとしていた昨年の全日本選手権は結局、無観客開催となってしまいました。今後、この部活動応援企画は?

「僕はやりたかったことを途中で投げ出す気はないので、新型コロナが収束したら再開したいと考えています。そして、いずれは全日本や国内各地の大会に応援に来てもらいたいと思っています」

――江原選手はプロテニスリーグ機構の理事としても活動しています。現役選手としてこのような活動を続ける狙いは?

「僕自身、現役としてまだまだ活躍したいですし、そのためにはファンに応援してもらえる環境作りをしなければいけません。ファンを増やす方法の一つは試合を観てもらうことですが、それだけでなく、選手のキャラクターを知ってもらうことでファンを増やすこともできると思っています。

選手一人一人キャラクターが違います。(部活動応援企画にしてもプロテニスリーグにしても)選手が身近に接する機会を作って、そこでその選手のキャラクターを知ってもらえれば、ファンになってもらいやすいだろうし、テニスを観に来てくれる人も増えるでしょう。そして、その中から、自分もプロテニス選手を目指そうと思う子が出てきてくれたら、僕の活動としてはある意味成功なのかな、と思っています」

自分は目標を達成できると信じることが今の僕には必要

江原は今年でプロ12年目のシーズンを迎える。過去にITF大会でシングルス5勝、ダブルス12勝を挙げ、全日本選手権では2014年にシングルスで優勝し、2017年にはシングルス準優勝、ダブルス優勝という実績を残している。コロナ禍の中で848位(2021年3月22日現在)まで下がった世界ランキングをどこまで再浮上させられるかが、江原の今後の課題の一つだ。

江原弘泰選手

「ダブルスは性格的に合う選手と組みたい。一緒にファイトしてくれて、悔しがるときは一生懸命悔しがってくれる。喜怒哀楽のある選手のほうが、僕は組みやすいです」(江原)

――江原選手は試合中に劣勢になった場面でどうやって気持ちを立て直していますか?

「僕は調子が悪いときや劣勢になったときは、自分の得意なショットを使うようにしています。僕はフォアが得意なのでフォアを使って攻め、自分の攻撃パターンでポイントを取れたときは大いに喜ぶ。喜びを感じることで、自分はまだ崖っぷちじゃないんだと思えますから。

また、これは海外のコーチから習ったことですが、試合中に歌を口ずさんだり、夜の食事のことを考えたり、テニスから離れることもやってみます。必ずしも逆転につながるわけではないですが、こういうことを試したことで、試合には負けたけど次につながるんだ、と前向きに結果を受け入れられるようになります」

――現役選手としてこれから目指すところは?

「グランドスラムの予選に出るのが僕のテニス人生の最大の目標です。これまで2度その手前まで行けたけど、ケガなどで挫折した経験がありますから、もう一度トライしたいと思っています」

――世界ランクを再浮上させてグランドスラム予選に出場するという目標をかなえるために、今の江原選手に必要なことは?

「最終的にはメンタルだと思います。諦めない気持ちを常に持ち続けることが自分にとって一番の課題。もう辞めようかなとか、もう無理なんじゃないかと思うことがあるので、そう思っているうちはグランドスラムの予選には届かない。自分は目標を達成できるんだと信じてプレーすることが、今の僕には必要なことだと思っています。

また、全日本選手権は毎年狙っていきます。これまでシングルスとダブルスで優勝しているので、ミックスで勝って3つ目のタイトルを獲ることも目標の一つです。全日本は優勝すればずっと全日本チャンピオンと言ってもらえるし、周囲の接し方が違ってきます。だから、もう一度シングルスで優勝を狙うこと、それが現役を続けていく意味だと感じています」

部活動応援企画やプロテニスリーグ実施によってファンを増やし、そのファンの目の前でもう一度全日本タイトルを手にしたい、と江原は言う。彼が地道にまいた種が芽を出すとき、国内のテニスシーンに明るい日差しが差し込むだろう。


江原弘泰選手

江原弘泰(えはら・ひろやす)

1991年生まれ。埼玉県出身。身長173cm。2009年に18歳でプロ転向。2014年全日本選手権単優勝、2017年全日本選手権複優勝。ITF大会単5勝、複12勝。世界ランク自己最高位単330位、複422位。生涯獲得賞金額(単複合計)10万5361ドル。エキスパートパワー静岡所属。


江原弘泰の愛用ラケット

ヘッド 「プレステージS」

「選んだ理由の第一は色。赤は自分のやる気を出させてくれる色ですから(笑)。僕はボールを打っている感覚をしっかり得られるラケットが好きで、このラケットは試打したときにボールを打てる感覚がすごくありました。プレステージシリーズの中でも面サイズが大きくて(99インチ)軽く、スイートエリアが広いので、一般プレーヤーも使いやすいと思います」(江原)

ヘッド 「プレステージS」

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岡田洋介
2021.05.07 17:00 投稿者:
岡田洋介
1968年、群馬県生まれ。出版社でスポーツ誌の編集職を経て独立。 スポーツライターとしてテニスのグランドスラム大会等の取材活動を行うほか、ゴルフ誌やランニング誌等に寄稿する。 2005年にテニスレッスン専門の動画配信サイト『テニスストリームTV(www.tennisstream.tv)』を立ち上げ、 テニス愛好者に役立つ上達情報を配信している。趣味の百名山登山は現在20座制覇! 【編集協力】『配球とコンビネーションで勝つテニスダブルス』(学研プラス)、『白木式コアトレ ベーシックメソッド』(学研プラス)

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