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元世界70位・尾﨑里紗“再起にかける思い”

2021.04.30|17:00|投稿者: 岡田洋介
元世界70位・尾﨑里紗“再起にかける思い”

コロナ禍で自粛期間が続いた昨年春、尾﨑里紗はプロになって初めてテニスから離れ、そしてテニスと向き合う時間を持ったという。目下、世界ランキング300位台の尾﨑に、トップ100から陥落した当時の心境、そして再びグランドスラムの舞台を目指してトレーニングを積む現在の思いを聞いた。

早くポイントを取り戻したいという焦りがケガに

今から4年前の2017年春、彼女はマイアミの地でまぶしいほどの輝きを放っていた。グランドスラムに次ぐ格付けのマイアミオープンで予選から勝ち上がった尾﨑里紗は、本戦でもランキング上位選手を次々と撃破して4回戦に進出。当時世界1位のアンジェリク・ケルバーに敗れたものの、直後に発表されたWTA世界ランキングで70位となり、自己最高位を更新した。

2012年、18歳でプロに転向。翌2013年にはITF大会で2勝を挙げて世界200位を突破。2014年にフェドカップ(現在は、ビリー・ジーン・キング・カップ)の日本代表に初選出され、2015年もITF大会で2勝。2016年には豪州で行われたITF大会で2週連続優勝し、トップ100入りを果たす。2017年1月の全豪オープンでグランドスラム本戦に初出場し、そしてマイアミでの快進撃。トップへの階段を一気に駆け上がっていた尾﨑に変調の兆しが見られたのは、グランドスラム3大会連続本戦出場となった7月のウインブルドンのころだったというーー。

尾﨑里紗選手

「(自己最高位の70位から)100位以下に落ちた後、早く戻らないといけないと思いすぎて、自分を見失っていました」(尾﨑)

――2017年夏あたりからランキングがじりじり落ち始めましたが、何があったのですか?

「マイアミの後のクレーシーズンで1回戦負けが続き、早くポイントを取らなければいけないと焦ってしまって、ウインブルドンのころから少し手首を痛めてしまったんです。その時期は常に100位以内の選手たちと試合をしていましたから、ケガをしている状態では勝てませんでした」

――USオープンではグランドスラム本戦初勝利を挙げて2回戦進出しましたが、その後は再び初戦敗退が続きました。勝てない時期は、どんな気持ちでプレーしていたのですか?

「ツアーに慣れている選手なら(故障で勝てない時期は)休養して立て直すことも考えると思います。でも、当時は私もコーチもツアーの経験が浅かったので、ポイントを取り戻すことにフォーカスしてしまい、痛みがありながらも年末のギリギリまで試合に出続けました。後から考えれば、そこが反省点の一つです。100位以下に落ちた後も、早く戻らないといけないと思いすぎて、自分を見失っていたところがありました」

テニスが苦しいという感情が自分の中でほとんどだった

世界ツアーのランキングは原則として直近52週(約1年)に獲得したポイントをもとに算出される。2018年春、1年前のマイアミで獲得した大量ポイントを失った尾﨑は世界200位以下に陥落した。WTAツアーの華やかな表舞台から一転して観客もまばらな下部ツアーへーー。

尾﨑里紗選手

昨年春の自粛期間中、尾﨑は約1カ月間テニスから離れた。その時期にテニスと向き合い、もう一度グランドスラムに出たいと思えるようになったという

――わずか1年で状況が激変しました。当時の心境は?

「落ちてすぐの2018年、2019年あたりは、今までできていたことができなかったり、今まで負けたことがなかった選手に負けてしまったりして、ツアーが苦しい、テニスが苦しいという感情が自分の中でほとんどでした。それまで私がしてきたことが間違っていたんじゃないか、と自分を責めることも多くありました」

――いつごろから気持ちを切り替えて前向きに臨めるようになったのですか?

「昨年、コロナ禍になって最初の緊急事態宣言が出た時期に1カ月くらいテニスを離れたのですが、それからテニスに対して前向きに向き合えるようになりました」

――テニスと離れた時期に、どのようなことを考えたのですか?

「グランドスラムのコートに立てる選手はごくわずかです。そのグランドスラムに初出場したとき、そして1勝できたときの喜びは、それまでの苦しさを一気に跳ね返してしまうほどのパワーがありました。そういうことを思い出して、もう一度グランドスラムに行きたいと思えるようになり、自分の中の負の感情かだんだんかき消されていきました」

――現在は、マネジメント契約をしているグラムスリーのサポートを受けて練習を続けているそうですが、尾﨑選手にとってグラムスリーの存在は?

「世界70位のころは、何もしなくても人が声をかけてくれる状態だったのですが、そこから落ちると一気に去って行くというか、ツアーに行っても孤独で心細いところがすごくありました。でも、グラムスリーのテニスチームに関わるようになってからは一人じゃないと思えるようになって、私の心の支えになりました」

ロングラリーに持ち込み、スピンやスライスなどの変化をつけて相手を崩すようなプレーを練習

今年でプロ9年目のシーズンを迎えた尾﨑は、現在はグラムスリーがサポートするジュニア選手たちとともに東京や神奈川を拠点に練習を行っている。尾﨑の現在のWTAシングルスランキングは339位。この位置から、まずはグランドスラム予選出場の目安となる200位前後のランキングを目指して、国内外の下部ツアーに挑んでいく。

尾﨑里紗選手

「テニスは毎週試合があって、負けてもまたリベンジする機会がある。負けが続くとすごく苦しいけど、いつでも自分を変えられるチャンスがある」(尾﨑)

――現在、課題として取り組んでいるのは?

「私が一番良かったときは、どんなボールでも粘り強く拾って深いところに返すプレーで勝っていました。ランキングが落ち始めたころ、何か変えなきゃいけないと考えて、自分から攻めて相手にプレッシャーをかけるプレーを練習したのですが、今は良かったころのように、常に粘り強く相手コートの深いところに返球してプレーを組み立てていく練習をしています」

――尾﨑選手は試合中、劣勢になった場面でどのようにして立て直していますか?

「うまくいかないとき、焦っているときはポイントを取り戻そうとしてペースが早くなってしまうものです。次のレシーブのポジションに早く入ったり、すぐに次のサーブ動作を始めてしまったりしやすいので、ポイント間の20秒を使ってタオルを取ったり、少しゆっくり歩いてみたりしています。また、自分からミスしないように、ラリーになったらサイドを狙わずにコートの真ん中を狙い、とにかくラリーを続けて足を動かしてリズムを取り戻すように心がけています」

――今後の試合の予定は?

「(新型コロナの影響で)今はスケジュールが立てにくい状況ですが、チームのジュニア選手たちと新しい気持ちで練習ができているので、この気持ちのまま試合を待ちたいと思っています」

2017年全豪オープン1回戦のサラ・エラーニ戦で10代のころから憧れていたグランドスラムの舞台に初めて立ったときの感動を、尾﨑は今でも鮮明に覚えているという。あれから4年、彼女を取り巻く状況は一変した。練習相手は10歳近く年の離れたジュニア選手たち、練習場所は公営コートという環境下、それでも尾﨑をコートに立たせる原動力となっているのは「もう一度、グランドスラムのコートに立ちたい」という復活への飽くなき渇望だ。


尾﨑里紗選手

尾﨑里紗(おざき・りさ)

1994年生まれ。兵庫県出身。身長162cm。18歳でプロ転向、2017年グランドスラム4大会本戦出場(USオープン2回戦進出)、WTAマイアミ大会4回戦進出。世界ランク単339位(2021年3月22日現在)、自己最高位単70位。生涯獲得賞金額(単複合計)72万8333ドル。江崎グリコ所属。
Instagram:https://www.instagram.com/risaozaki410/


尾﨑里紗の愛用ラケット

ヘッド 「ラジカルMP」

「ラジカルは硬いラケットというイメージがありますが、現行の2021年モデルは前回のモデルと比べてしなりが大きく、反発もするけどボールが乗ってくれる感覚があります。私はこれまでにヘッドの機種はほぼ全部試してみましたが、スピンをかけながらオールラウンド的にプレーする私にとっては、このラケットが一番結果を出せています」(尾﨑)

ヘッド「ラジカルMP」

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岡田洋介
2021.04.30 17:00 投稿者:
岡田洋介
1968年、群馬県生まれ。出版社でスポーツ誌の編集職を経て独立。 スポーツライターとしてテニスのグランドスラム大会等の取材活動を行うほか、ゴルフ誌やランニング誌等に寄稿する。 2005年にテニスレッスン専門の動画配信サイト『テニスストリームTV(www.tennisstream.tv)』を立ち上げ、 テニス愛好者に役立つ上達情報を配信している。趣味の百名山登山は現在20座制覇! 【編集協力】『配球とコンビネーションで勝つテニスダブルス』(学研プラス)、『白木式コアトレ ベーシックメソッド』(学研プラス)

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