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何も足さず、何も引かない「究極の精度」。『Prestige』降臨!

2021.04.23|17:00|投稿者: 吉田正広
何も足さず、何も引かない「究極の精度」。『Prestige』降臨!

ブランド紹介でもお伝えしたとおり、アメリカからオーストリアへ拠点を移したヘッド(HEAD)は、ヨーロッパの主戦場であるクレーコートで勝ち抜くために『Prestige(プレステージ)』を開発。それは、縦長フェイスを採用し、ベースラインよりはるか後方からぶっ叩くためのパワー系でした。しかし、コート内に入り、高速ラリーが展開される現代的なテニスにおいては、特にその原型を今にとどめる『Prestige MID(ミッド)』は生粋のコントロール系へと評価が様変わり。プレースタイルが変わり、時代が変わっても、ずっと愛され続ける『Prestige』の魅力について紹介します。

世界初となるフルキャップのグロメットを搭載

シリーズの登場は1986年。当時は約70平方インチがレギュラーサイズだった時代に、オーバーサイズとの中間に位置付けられる92平方インチとしてデビューしたのが、『Prestige MID』の原型でした。ただし面を大きくするだけではインパクトがぶれてしまいかねないから、18×20の密なストリングパターンを採用して、コントロールの強化が図られます。

そして、当時の選手たちがテストを重ねるなかで、今でいうフルキャップグロメットを搭載。ハーフキャップはそれ以前からありましたが、フェイスのほぼ全周を覆う仕様は、これが世界で初めてだったのです。

今では、『Prestige』といえばフルキャップがデフォルトとなり、その担う役割は主に次の3つ。

1.コントロール性の向上
当時としては正面厚が肉薄だった『Prestige』のフレームの剛性補強

2.スイングスピードの加速
今のようなフレームに沈み込んでいなかったストリングの露出による凹凸をマスクすることにより、空気抵抗を軽減

3. 打球感が柔らかくなり、心身に及ぶストレス低減
結果的に全周を柔らかなグロメット素材で覆うことによる打球感のマイルド化

フルキャップのグロメットは『Prestige』の象徴

フェイスのトップからサイド、ボトムに至るまで、ほぼ全周をカバーするフルキャップグロメットは『Prestige』の象徴

名選手たちに受け継がれ、あのレジェンドも横取り!?

フルキャップにすると、通常のグロメットに比べてウェイトが15グラムほど重くなります。ですが、フレーム素材の進化や、カーボン加工技術の進歩など好条件が相まって、不利は招かずむしろその思い切った採用の成果は大きいものでした。

『Prestige Pro(Classic)』に限らず、上記3つの役割を担うプレステージのシステムを採用したモデルたちは、広く評判が評判を呼んで、アンリ・ルコント、エミリオ・サンチェス、トーマス・ムスター、ゴラン・イワニセビッチなどの名選手たちに受け継がれました。

グスタボ・クエルテンや、マラト・サフィン、マリン・チリッチらのメジャー優勝にも、もちろん貢献しました。

当時の逸話として、他メーカーとのラケット契約があったジョン・マッケンローが、イワニセビッチの『Prestige』を「ちょっと貸せ(意訳ですが、恐らくそんなイメージ)」といって奪い取り、打ってみるとあまりに気に入って、そのままツアーで使ってしまったというのは今でも、語られています。

イワニセビッチ

左利きのクイックモーションから打ち出される「サンダーサーブ」で一世を風靡したイワニセビッチ。引退してからはチリッチ、そしてノバク・ジョコビッチのコーチを歴任し、ヘッドファミリーの勝利に貢献している

「赤色=上級モデル」のイメージを定着させた「罪深きラケット」

『Prestige』といえば、今となっては「ヘッドのラケットは難しい」という印象を世間に植えつけた「罪深きラケット」ではありますが、もとから尖らせようとしたわけではなかったのでした。その生い立ちを見てきたとおり、時代や選手に求められて誕生したというのが、もともとのルーツです。

とはいえ、ラインナップが『Prestige』だけだと間口が狭すぎて、選べるプレーヤーは限定的になりすぎます。そういう意味では、『Radical(ラジカル)』や『Speed(スピード)』『Extreme(エクストリーム)』『Instinct(インスティンクト)』など、後続シリーズのヒットがあるからデビューより35年を経た今も『Prestige』は残っていて、なおかつ頂点に君臨する最も先鋭的なシリーズになっているといえるかもしれません。

また、今は少し違ってきたかもしれませんが、「赤色のテニスラケット=上級モデル」という方程式を世に定着させたのは『Prestige』であり、シリーズには、今も全身真っ赤のテーマカラーが踏襲されています。

振ったら振ったぶんだけの力を、手のひら感覚を通じてボールに伝える

さて最新の『Prestige』では、「グラフィン360+」のテクノロジーをベースとして、シリーズのなかでもラインナップの幅が広がり、万人向けとはいいませんが(それを求める場合は『Radical』を検討)、より多くの人が求められるようになりました。カクカクとした長方形のフレーム断面が、台形風にアレンジされたのもその理由のひとつです。

しかしそうはいっても、他のシリーズに比べて最も変化が抑えられ、オリジナルからあまり変わらない形で伝統を継承しているのが特徴であり、それが『Prestige』らしい絶対無二のテクノロジーともいえるでしょう。

もっと飛ばしたければ、他のシリーズがあります。ミスをリカバリーしてくれるラケットもあるでしょう。しかし、振ったら振ったぶんだけの力が手のひら感覚を通じて直にボールへと伝わり、ミスヒットしたら、ごまかさずにちゃんとミスショットになってくれる。だからこそ、プレーヤーの力量がダイレクトにコート上で反映され、なおかつ、実力が自ずと培われるというのが、『Prestige』のユニークなところといえるのです。

ショットに対して、プレーヤーの力量以上に、何も足さないし、何も引かない。これこそ「究極の精度」と呼ばれる理由です。

ツアーシリーズのキーテクノロジー「グラフィン360+」

現在のヘッドのツアーシリーズが大きな進化を遂げたキーテクノロジーが、「極バランス(カウンターバランス)」理論です。従来のラケットでは、負担が大きくなるシャフトを補強するためにカーボンを増量する必要に迫られ、重くせざるを得ませんでした。

しかし鋼鉄の200倍の強度を持つ軽量「グラフィン」が、この問題を解消。軽さを維持したままシャフトを補強できたそのぶん、全体の重量をラケットヘッドとグリップの両極へ振り分けることに成功したのです。

これにより、全体としての重さとバランスは一切変えずに、操作性やパワーが向上。また「グラフィン」をフェイス補強にも使用したのが「グラフィン360」テクノロジーであり、さらに面の5時・7時部分によじったスパイラルファイバーを追加したことにより、「グラフィン360+」テクノロジーは完成しました。

グラフィン360+

シャフトとフェイスのトップ&両サイドに「グラフィン」を、そしてショルダーエリア(5時・7時の位置)にはスパイラルファイバーをプラスして、優れたエネルギー伝達とクリーンな打球感を実現

ぶっ叩いたときの安定感が際立つ『Prestige MID』

今の『Prestige』シリーズは5機種編成で、モールドは4種類あります。そのなかでも、デビュー当時のクラシカルなスタイルを最も踏襲しているのが『Prestige MID』です。

飛びすぎるから『Prestige』を選ぶという見解がありますが、それはミスリード。むしろ、フルキャップでシャープに振り抜きながら、ぶっ叩きたいニーズに最適です。

ボールをつぶしたときの面安定性が抜群のコントローラブルモデル。ラケットに飛ばしてもらうのではなく、フルスイングしたときにこそ、安定感、安心感を求めたいプレーヤーにベストマッチといえるでしょう。

Prestige MID

伝統の18×20を継承するクラシカルラインの『Prestige MP』

最新の 『MP』では、従来の同モデルよりも3平方インチ大きい98平方インチのフェイスが採用されています。面が大きくなったぶん飛びのアシストはありますが、『Prestige』伝統の18×20の細かなストリングパターンを継承し、コントロールの精度も圧倒的に優れます。

『Prestige MID』と並ぶ伝統のクラシカルラインとして、昔からの『Prestige』ファンの食指が動く名機らしい完成度を誇ります。

Prestige MP

飛びとスピンのバランスが絶妙な次世代型の『Prestige PRO』

『Prestige』シリーズのなかでは最厚となる22ミリ均一の背幅で構成される『Prestige PRO(プロ)』。しかも16×19の比較的広めのストリングパターンにより、ボールが引っかかり、飛びとスピンの要素を絶妙にバランスさせています。

『Prestige』ならではの優れたコントロールとフィーリングはしっかり維持しながら、パワー&スピンも付加した、選手層にも選ばれる次世代型『Prestige』です。

Prestige PRO

新たなコンセプトとして「ラクさ」が加わった『Prestige TOUR』

『Prestige』としては新しい考え方に基づき、「ラクさ」を付与されたのが、『Prestige TOUR(ツアー)』です。99平方インチのフェイスサイズを採用。そのため、他メーカーを含め、一般的なラケットに近い感覚で使えるニューモデルです。

そのうえで縦糸を18本配置して、面安定性の強化が図られました。「ラク」でありながらも、ボールを叩きつぶしてプレースメントできる『Prestige』らしい仕上がりになっています。

Prestige TOUR

初中級者もターゲットに収めるパワー&スピンの『Prestige S』

『Prestige TOUR』と同じモールドで、99平方インチのフェイスサイズを採用するのが『Prestige S』。メインストリングは16本に減らし、なおかつ横糸の上下間隔を一層開いて、ストリングをたわませつつ、ボールが引っかかる仕様になっています。

『Prestige』が、若い世代のパワー&スピン系ストロークに対応。「ラクさ」も相まって、初中級者もターゲットとして射程に収める進化版『Prestige』が誕生しました。

Prestige S

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吉田正広
2021.04.23 17:00 投稿者:
吉田正広
テニスメディアを中心にギア系の記事を寄稿。書籍、ムック、雑誌、ウェブサイト等の実用コンテンツを手掛ける。メンタル、フィジカル、栄養学、健康医学、リスクマネジメント、仏教等にも親しむ。一般プレーヤーの質問、相談、悩みにも応える。 【編集協力】『泣き笑い! アスリート図鑑』(池田書店)、『在宅避難で役立つ食まわりの知恵から日ごろの備えまで クックパッド防災レシピBOOK』(扶桑社)、『元機動戦術部隊員に学ぶ危機管理トレーニング2』(ベースボール・マガジン社)、『伸びるテープと伸びないテープを使った 最新スポーツテーピング』(マイナビ)、『スポーツのための体幹トレーニング練習メニュー240』(池田書店)、『徹底図解 成果が必ず出る! ビジネス整理術』(日本文芸社)、『バイシクルライディングブック』(ベースボール・マガジン社)、『テニスワンポイントレッスン500』(学研プラス)、『NHK科学大好き土よう塾〈1〉ものごとの不思議とことん解明!』(汐文社)、『1日10分〈クイック→スロー〉で自在に肉体改造 体脂肪が落ちるトレーニング』(高橋書店)

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