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『プレステージ』はパワーラケットだった!? ヘッドブランド誕生物語

2021.03.19|17:00|投稿者: 吉田正広
『プレステージ』はパワーラケットだった!? ヘッドブランド誕生物語

絶対王者のノバク・ジョコビッチ、ビッグ4の一翼を担ったアンディ・マレー、女性アスリートの象徴マリア・シャラポワなど、たくさんのスーパースターたちに選ばれてきたヘッド(HEAD)ブランド。今でこそ世界的大企業ですが、創業当初は、超少数精鋭だったといいます。創業者であるハワード・ヘッドの人となりを伝えるエピソードから、エポックメイキングとなったラケット誕生秘話、物づくりに対するこだわりまで、紹介します!

スキー板の開発が、スポーツブランドとしての原点だった

ブランド名のヘッドは、創業者のハワード・ヘッドに由来します。ハワード・ヘッドはもともと、アメリカの航空エンジニア。いろいろな発明をするなかで、テクノロジーをスキー板に置き換えていったというのが、スポーツ業界に参入するヘッドブランドの原点でした。

1947年にラミネートメタルスキーを発明。 HEAD SKI Company INC. をアメリカのメリーランド州に設立した1950年当初は、従業員はわずか6名だったといいます。そこからメタルスキーの高性能化を追求した結実として、世界的に高い評価を獲得。製造や流通の会社をヨーロッパにも設立していきました。

今でこそヘッドといえば、ヨーロッパのメーカーであることが広く知れ渡っていますが、それはのちに、スキーが国営産業のごとく普及しているオーストリアへ本社を移転したからであり、もとはアメリカ生まれだったのです。

ブランドの創業者であるハワード・ヘッド

ブランドの創業者であるハワード・ヘッド

アーサー・アッシュにラケットを提供。ヘッドとともに、数々の偉業を成し遂げる

スキーの分野で活躍したハワード・ヘッドは次のステップとして、自身の趣味であったテニスのラケット開発に着手します。1969年に、世界初となるアルミ製テニスラケットを開発。ヘッドのユニークな試みは、当時のラケットといえばウッド系がほとんどだったなか、最初にメタル系から入るなど、着想が斬新なところにありました(その後、改めてウッドのラケットもラインナップに加わりました)。

黒人男子選手として初めて4大大会シングルスを制したアーサー・アッシュ(プロの出場が認められるオープン化された1968年にUSオープンを制覇)にラケットを提供。ヘッドのスポンサードを受けたのちアッシュは、1970年オーストラリアンオープン、1975年ウインブルドンを制するなど、ヘッドラケットとともに、数々の偉業を成し遂げたのです。

デカラケで名を馳せたあのメーカーも、ハワード・ヘッドが生みの親?

歴史を振り返って見てきたとおり、起業当初からレジャーというよりも、コンペティションを意識した物づくりに従事。一方でハワード・ヘッドは、自身が楽しむテニスに役立てるために、大きなラケット面なら簡単に打てるだろうとの発想から、世界で初めてオーバーサイズラケットを発明しました。今でこそデカラケは珍しくありませんが、当時としては、斬新なアイデアだったのです。

その権利をとあるメーカーが買収し、世界的テニスブランドへ成長を遂げた裏話は、テニスファンなら広くご承知のエピソードでしょう。

『Prestige MID』開発秘話

Prestigeの初代モデル

Prestigeの初代モデル

そして時代がくだって1986年、名機『Prestige(プレステージ)』を発表。35年が経った2021年現在、進化を遂げながらも未だに残っている、近代ラケットの最古参です。

『Prestige』といえば、市場のなかでも最もシビアで、使いこなすのが難しいとされるシリーズの代表格。直訳した意味「威信」を示す完成度を誇ります。しかしデビュー当初はなんと、楽に飛ばせるパワーラケットとして開発されたのでした。

ヘッドが着目したのは、フェイスの「サイズ」と「形状」でした。当時もオーバーサイズラケットはありましたが、まだまだその名のとおり70平方インチのレギュラーサイズラケットが、プロの世界では一般的でした。

そのオーバーとレギュラーの「中間(ミドル)」サイズとして新採用されたのが、92平方インチの『Prestige Pro 600』。当時としてはかなり大きめの面で(現行のミッドサイズモデルは93平方インチ)、楽に飛ばせるパワーラケットだったというわけです。

『Prestige』のフェイスが、縦長である理由

当時のプレースタイルを念頭に置いて、圧倒的なアドバンテージを掌握するために産み落とされたのが、『Prestige』だったといいます。

今のテニスは、チャンスがあればポジションを上げてコート内へ進入し、速いテンポで打ち合う高速ラリー戦が主流です。しかし、特に球足が遅くてバウンドが高く弾むクレーコートが多いヨーロッパでは、かつてはベースラインより2〜3m後ろから、場合によっては5mほども下がって、ラリーを延々と繰り返す体力と気力の消耗戦も少なくありませんでした。

ラケットには、大きく、深く飛ばすパフォーマンスが求められました。そのニーズに呼応したスペックが、レギュラーサイズよりもはるかに楽に飛ばせるミッドサイズの『Prestige Pro』であり、今なお継承されているおなじみの縦長フェイス形状。メインストリングの可動率を上げて、反発性を高めるための工夫だったというわけです。

フェイスを大きく、長くするぶん、ボールコントロールが乱れやすくなる問題には、「18×20」の密なストリングパターンを用意するなどしてシリーズの充実化を図るとともに、「グラフィン」素材や「極バランス」設計を採用して進化を促進。その極みとして現行モデルに至っているというのが、『Prestige』の歩んできた足跡です。

『Prestige』

長い歴史の過程で改良を重ね、進化が極まった『Prestige』

トッププレーヤー向けの品質を、一般プレーヤーに応用する

物づくりのこだわりとしてヘッドは、まずトッププレーヤーの信頼に応えようとします。その「品質」を、一般プレーヤー向けにも応用するトップダウン方式を採用。そしてまた、トッププレーヤーの意見を取り入れて、製品改良のフィードバックに役立てます。

このようなギアの開発プロセスを踏まえ、プロになる以前からヘッド製ラケットを使っていたプレーヤーが今、ツアーの上位で活躍していたり、あるいは他メーカーの選手からも、ヘッドを使いたいと求められたりするケースも少なくありません。

もちろんラインナップは、今回知られざるさわりをご紹介した『Prestige』だけではありません。『Radical(ラジカル)』『Extreme(エクストリーム)』『Gravity(グラビティ)』『Speed(スピード)』『Instinct(インスティンクト)』と、個性的で絶対無二のシリーズを豊富にそろえます。プロからアマチュアまでを魅了するヘッドワールド、これから詳しく取り上げていきます!

究極のオールラウンドシリーズ『Radical』

ヘッドがあらゆるラケットの分布を検討する上で「ベンチマーク」役となっているのが、『Radical(ラジカル)』です。つまり基準となるシリーズ。ある要素を突出させるのではなく、その反動減として何かを欠落させることなく、すべてのパフォーマンスでハイアベレージをたたき出します。

プレーヤーのフィジカルに合わせて、『PRO(プロ)』『MP(エムピー)』『S(エス)』『LITE(ライト)』の4機種から選択可能。「究極のオールラウンド性能」を、ぜひ手に入れてください!

※以下ラインナップ
『Radical PRO』
『Radical MP』
『Radical S』
『Radical LITE』

『Radical PRO』

写真は『Radical PRO』

現役でありながら伝説『Prestige』

ブランドの歴史でも触れたとおり、現役でありながらそれと同時に生ける伝説である『Prestige』。35年に及ぶ長い歴史のなかで進化に進化を重ね、今やコントロールラケットの極致。

振ったら振ったぶんだけ飛び、振らなければそれ以上に飛びすぎず、プレーヤーの意思を、ありのままにボールへ伝えます。

※以下ラインナップ
『Prestige MID』
『Prestige MP』
『Prestige TOUR』
『Prestige PRO』
『Prestige S』

『Prestige MID』

写真は『Prestige MID』

スピン&パワーに特化した『Extreme』シリーズ

『Radical』とは対照的に、スピン&パワーを突出させたスピン系プレーヤー向けシリーズ。個性的なティアドロップ型のフェイスでボールを長く転がせるとともに、ストリングの可動を促し、ガシガシとスピンをかけられます!

ベースライン上から一撃で相手を追い込んだり、相手の高速サービスに打ち負けず、リターンをショートクロスへたたき返したりするプレースタイルを望むなら、有力な選択肢のひとつとなります。

※下記ラインナップ
『Extreme TOUR』
『Extreme MP』
『Extreme MP LITE』
『Extreme MP S』

『Extreme TOUR』

写真は『Extreme TOUR』

約10年ぶりの新機軸。最新シリーズ『Gravity』

『Prestige』『Radical』『Speed』『Extreme』『Instinct』の5本柱がしばらくラインナップのレギュラーメンバーでしたが、約10年ぶりとなる新機軸として送り込まれた『Gravity(グラビティ)』。

コンセプトは、ネクストジェネレーションへの呼応。ラケットのトップ方向の打点が多用される次世代テニスに対応して、スイートエリアフェイスの真ん中ではなく上方へ位置づけ、さらなるハードヒット&ヘビースピンを実現します。

※以下ラインナップ
『Gravity PRO』
『Gravity TOUR』
『Gravity MP』
『Gravity MP LITE』
『Gravity S』
『Gravity LITE』

『Gravity PRO』

写真は『Gravity PRO』

ボールと展開を高速化する『Speed』シリーズ

『Speed(スピード)』シリーズのコンセプトは、「ボールスピードと展開力の高速化」です。イメージキャラクターであるノバク・ジョコビッチのプレーが、まさにそう。ベースライン後方で粘る鉄壁の守備から一転、ポジションを上げるやいなや、速攻でたたみかけてポイントを量産します。

シャフトに加えてフェイスのトップと両サイドにも「グラフィン」を使用する「グラフィン360」テクノロジーを採用。面安定性の強化が図られました。さらにカーボン繊維をよじったスパイラルファイバーをフェイスの5時・7時部分にプラス。よじっているぶん、インパクトによる衝撃からの形状回復が素早いため、エネルギーロスの少ないスピードボールを創出します。

※以下ラインナップ
Speed PRO Black
Speed MP Black
Speed PRO
Speed MP
Speed MP LITE
Speed S
Speed LITE

『Speed PRO Black』

写真は『Speed PRO Black』

フラット系の伸びと精度が随一『Instinct』シリーズ

選手に選ばれるツアーモデルでありながら、「エフォートレスパワー(努力いらずの力強さ)」で、一般プレーヤーからも人気を集めるのが『Instinct(インスティンクト)』シリーズです。

センターフォーカスさせた細かなストリングパターンでインパクトが安定すると同時に、最大26mmの中厚設計で、力まず飛ばせるハイパワー。特にフラット系の伸びと精度は、ヘッドが擁する他のシリーズすら及ばず「別格」とささやかれ、プレーヤーの気持ちよく打ちたい本能的(インスティンクトな)プレーを覚醒させます。

※以下ラインナップ
Instinct MP
Instinct S
Instinct LITE

『Instinct MP』

写真は『Instinct MP』

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吉田正広
2021.03.19 17:00 投稿者:
吉田正広
テニスメディアを中心にギア系の記事を寄稿。書籍、ムック、雑誌、ウェブサイト等の実用コンテンツを手掛ける。メンタル、フィジカル、栄養学、健康医学、リスクマネジメント、仏教等にも親しむ。一般プレーヤーの質問、相談、悩みにも応える。 【編集協力】『泣き笑い! アスリート図鑑』(池田書店)、『在宅避難で役立つ食まわりの知恵から日ごろの備えまで クックパッド防災レシピBOOK』(扶桑社)、『元機動戦術部隊員に学ぶ危機管理トレーニング2』(ベースボール・マガジン社)、『伸びるテープと伸びないテープを使った 最新スポーツテーピング』(マイナビ)、『スポーツのための体幹トレーニング練習メニュー240』(池田書店)、『徹底図解 成果が必ず出る! ビジネス整理術』(日本文芸社)、『バイシクルライディングブック』(ベースボール・マガジン社)、『テニスワンポイントレッスン500』(学研プラス)、『NHK科学大好き土よう塾〈1〉ものごとの不思議とことん解明!』(汐文社)、『1日10分〈クイック→スロー〉で自在に肉体改造 体脂肪が落ちるトレーニング』(高橋書店)

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