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2020年の日本テニス界を振り返るーコロナ禍の中でたくましく成長を遂げた選手たちー

2021.01.01|13:00|投稿者: 岡田洋介
2020年の日本テニス界を振り返るーコロナ禍の中でたくましく成長を遂げた選手たちー

新型コロナウイルスの感染拡大によって世界中が混迷を極めた2020年が終わった。テニス界では世界ツアーが3月から約5カ月中断し、国内の主要大会もことごとくキャンセルされた。目指す目標を失い、厳しい状況に追い込まれた選手たちは、だが、コロナ禍の中で地道にトレーニングを続けて、ツアー再開の時を待っていた。今回は、国内外のテニス界が再始動した昨夏以降に活躍した選手、話題を集めた出来事などを振り返りながら、激動の2020年日本テニス界を総括してみよう。

再起をかける中川直樹が全日本選手権初優勝

中川直樹は昨年の日本テニス界で注目を集めた選手の一人だ。新型コロナウイルス感染症対策のため無観客で実施された11月の全日本選手権でノーシードから勝ち上がった中川は、決勝では慶応義塾大学4年生の今村昌倫に6-1、6-2のストレートで勝利してビッグタイトルを手にした。

ジュニア時代から「ポスト錦織」と言われてきた中川は、18歳でプロデューした後に2度の故障で低迷の時期を過ごしてきた。ケガから復活し、再起のシーズンとなるはずだった昨年、今度は新型コロナの問題でツアーが中断した。6月のインタビュー時、コロナ禍で練習を続ける中川は心境を次のように語っていた。

「今年は(世界ランキング)300番台に入るという目標を立てていました。こういう状況になってしまったので、年内にそれは無理だと思うが、再開して1年後くらいにはそこまで上げていきたい。そして250位以内になればグランドスラム大会の予選に出るチャンスも出てくると思う。僕はグランドスラム大会で優勝したいという小さい頃からの夢に向かってずっとやってきたので、そこはブレずにやっていきたい」

24歳の中川にとっての2021年は、錦織圭や西岡良仁がいる世界の舞台へ近づくために重要なチャレンジのシーズンとなる。

中川直樹選手

プロデビューから5年、ケガから復帰した"ポスト錦織"中川直樹が夢の実現へ向けて再始動!

秋田史帆が全日本選手権で戦後最年長初優勝

昨年の全日本選手権女子シングルスを制したのは、男子シングルス覇者の中川と同じ橋本総業ホールディングス所属の秋田史帆だった。決勝では第1シードの日比野菜緒を5-7、6-0、6-0の逆転で下し、同大会での最年長初優勝(30歳9カ月)という記録を作った。

プロ13年目の秋田は、全日本選手権の決勝を過去2度(2017年、2019年)戦い、2度敗れていた。そして3度目の決勝でも、第1セットを5-7で日比野に奪われた。「またダメか」と考えがちな場面、しかし、秋田はそこからメンタルの強さで日比野を圧倒し、12ゲーム連取でビッグタイトルをもぎ取った。

大舞台で際立つメンタルの強さを見せた秋田も、プロに転向して数年は緊張しすぎて自分のプレーができないことが多かった。その後、秋田はイメージトレーニングを学び、緊張した場面でも力を発揮できるようになったという。30代になって心身の充実ぶりを見せる秋田のさらなる活躍に注目したい。

秋田史帆選手

秋田史帆選手へ48の質問ーメンタルトレーニング方法を大公開ー

輿石亜佑美がギリシャ遠征でランキングをジャンプアップ

新型コロナウイルスの影響のため昨年3月から中断していたテニスツアーは、8月以降に世界各地で順次再開していった。だが、国内およびアジア圏のITF大会は大会中止が続いたため、ランキング下位の日本人選手の中には、ランキングポイント獲得を目指してヨーロッパ各地のITF大会へ遠征した選手も少なくなかった。

7月のインタビュー時に「(新型コロナウイルスの問題で)停止しているツアーが再開したら、これまでの最高ランキング(609位/2019年4月)より上を目指して頑張りたい」と話していたプロ2年目の輿石亜佑美は、10月から11月にかけて5週間のギリシャ遠征を行った。ITFイラクリオン大会(1万5000ドル)の3週目に井上雅と組んだダブルスでベスト4入りをすると、同大会の5週目ではシングルスでもベスト4入りを果たし、世界ランキング(単)を遠征前の947位から869位へ上昇させた。

「プロになったからにはグランドスラム出場を目指して頑張りたい」と語る20歳の輿石、2021年はさらなるランキングアップを目指して貪欲にチャレンジを続けていくシーズンとなる。

輿石亜佑美選手

(写真提供:Project E.O)

プロテニスプレーヤーへの道ー輿石亜佑美の場合ー

その輿石を指導するプロツアーコーチの西岡靖雄(Project E.O)は、9月にプロ2年目の坂詰姫野に帯同してポルトガルへ遠征。ITFポルト大会(1万5000ドル)ではスペインのジュリア・パヨラと組んだダブルスで準優勝した。「ジュニアを卒業した選手たちに必要なのは、ツアーの回り方やプロとしての生き方。そこをしっかり伝えていきたい」と語る西岡にとって、2021年は教え子たちの成長が楽しみな1年になりそうだ。

西岡靖雄コーチ

(写真提供:Project E.O)

弟・良仁と同じ世界で生きる。西岡靖雄が選んだツアーコーチの道(前編)
弟・良仁と同じ世界で生きる。西岡靖雄が選んだツアーコーチの道(後編)

再開したJTA大会で住澤大輔、山口芽生らが優勝

国内およびアジア圏のITF大会が年末まで中止となった影響で、夏以降に再開した国内JTA大会には、普段は国内外のITFツアーを主戦場としているプロ選手も数多く参戦した。

昭和の森オープン10月大会男子シングルスで優勝した住澤大輔は、18歳でプロに転向した後、1年以上勝ち星に恵まれなかった時期を経験した苦労人だ。「(勝てなかった時期)自分がこの試合で何を目標にするのかを紙に書き出して、やるべきことを明確にして、それを試合中に見たりしました」という住澤のアイデアは、一般プレーヤーにも参考になるだろう。

住澤大輔選手

住澤大輔選手へ50の質問ー勝てなかった時期に考えたこと・試したことー

11月のグリーンカップ埼玉オープン女子シングルスで優勝した山口芽生は、フラット系のストロークを武器に攻撃的に戦う選手だ。「フォアの高い打点からのショットは大好き」という山口に強打の秘訣を聞いたところ、「筒が相手のコートに一直線に向かって通っているのをイメージして、スパーンと打つのがコツ」と教えてくれた。山口は現在21歳。プロ5年目を迎える今シーズンは飛躍の年にしたい。

山口芽生選手

山口芽生選手へ44の質問ー得意なショットのちょっとしたコツー

山口が女子シングルスを制した11月のグリーンカップ埼玉オープンでは、女子ダブルスの部で森崎可南子/米原実令組が優勝した。森崎/米原組は一昨年の全日本チャンピオンだ。昨年の全日本選手権は新型コロナ感染防止のために規模が縮小され、男女ダブルス・混合ダブルスは中止となった。2021年は2年越しの全日本連覇へ挑むシーズンとなる。

森崎可南子選手

ダブルス巧者の森崎可南子が教えてくれた「大学時代に学んだ大切なこと」と「プロになって学んだ大切なこと」

チームヨネザワの石井さやかがITFジュニア新大会優勝

12月、愛媛県松山市でITFジュニア新設大会のリポビタン国際ジュニアが開催され、女子シングルスの部ではチームヨネザワ所属の石井さやかがタイトルを勝ち取った。

チームヨネザワは、ジュニア時代の錦織圭を指導したコーチの米沢徹が代表を務めるジュニア育成アカデミーだ。昨年春のインタビュー時、米沢は「錦織の時代から比べたら、今の子どもたちのテニスはかなり進化している」と語っていた。「試合でいろんなショットを使って戦える。ただ、強さというのはまだ見えてきてない。そこまでたどり着くように今の選手たちを持って行きたい」(米沢)。

15歳以下のクラスでは国内で圧倒的な強さを見せる石井を、今後どのようにプロレベルまで引き上げていくか、名コーチ米沢の手腕に期待したい。

チームヨネザワ

出てこい、次代の錦織圭!チームヨネザワ12年目のチャレンジ

コロナ第3波の影響で日本リーグが開催中止へ

国内のテニス大会は夏から秋にかけて、新型コロナウイルス感染症対策を講じた形で徐々に再開されてきた。しかし、11月以降のコロナ再拡大の影響で第35回日本リーグが中止となってしまったのは残念なニュースだった。

12月に予選リーグの第1ステージ、1月に第2ステージ、そして2月に決勝トーナメントが行われる日本リーグは、テニス選手たちにとって最大の見せ場の一つだ。昨シーズンの男子優勝チームの橋本総業ホールディングスを取材した際、同社の橋本政昭社長は選手をサポートする際の基本方針について「選手が主役だと考えれば、どんなサポートをすればいいか見えてきます。主役が活躍する舞台を作ってあげるということです」と語っていた。来シーズンは選手たちの熱い戦いの舞台が再び戻ってくることを願ってやまない。

橋本総業ホールティングス

選手が活躍できる舞台を!テニス界を強力にサポートし続ける橋本総業ホールティングス

杉山記一

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監督として橋本総業HDを日本一へ導いた杉山記一が目指すテニス選手のセカンドステージとはーー(後編)

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岡田洋介
2021.01.01 13:00 投稿者:
岡田洋介
1968年、群馬県生まれ。出版社でスポーツ誌の編集職を経て独立。 スポーツライターとしてテニスのグランドスラム大会等の取材活動を行うほか、ゴルフ誌やランニング誌等に寄稿する。 2005年にテニスレッスン専門の動画配信サイト『テニスストリームTV(www.tennisstream.tv)』を立ち上げ、 テニス愛好者に役立つ上達情報を配信している。趣味の百名山登山は現在20座制覇! 【編集協力】『配球とコンビネーションで勝つテニスダブルス』(学研プラス)、『白木式コアトレ ベーシックメソッド』(学研プラス)

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