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プロテニスYouTuber斉藤貴史が切り開くプロ選手の新たな舞台

2020.08.28|17:00|投稿者: 岡田洋介
プロテニスYouTuber斉藤貴史が切り開くプロ選手の新たな舞台

プロ転向7年目の昨年、斉藤貴史は自らテニスイベントを企画プロデュースしたり、YouTubeチャンネルを開設したりするなど、コート外でも活躍の幅を広げた。選手生命を脅かす右手首のケガから復活後にプロテニスプレーヤーとしての新たな活動をスタートさせた斉藤に、新展開への思いを聞いた。

テニスをしない人でも楽しめるテニス動画を作りたい

「【GoPro撮影】プロテニス選手の目線から見るテニス!が激しかった」、「松井俊英選手と合同練習!華麗なるネットプレーに驚愕しました!」、「美人モデルさんに男子プロテニスプレーヤーがプライベートレッスン!」、「スライスをテニスで使うなら遊んで覚えろ!【上達法】」……。これらは斉藤貴史のYouTubeチャンネル「斉藤貴史 Takashi Saitooo」の動画タイトルの一例だ。昨年9月にチャンネルを開設して以来、斉藤は1年足らずの間に80本を超す動画を投稿している。

斉藤貴史選手

「正直言うとYouTubeは自分のためにやっています。もちろん広告収入もありますし、プロテニスプレーヤーとしての斉藤貴史の認知度を上げれば、スポンサーの扱いも変わってきますから」

――かなりのハイペースでYouTubeに動画をアップしてますね。

「そうですね、一応週に2本くらい投稿したいと思って始めました」

――撮影や編集も一人で?

「最初の2カ月くらいは全部一人でやっていましたから、試合期間中でも撮影して、寝る間も惜しんで編集して、みたいな感じでした。でも、その後はネットの事業をやっている方とチームを組んで編集は任せています。人に任せるようになって映像のクオリティーも上がりました」

――タイトルを見ただけで興味を引く動画がたくさんありますが、動画のアイデアは誰が?

「自分で考えたり、チームでアイデアを出し合ったりしています。僕はテニスを通して、テニスをしない人が見ても楽しめる動画を作りたいと思っています。テニス動画だけどエンタメも入れたい。プロ選手にドッキリを仕掛けたり、そういうのが少しあるだけで、みんな笑ってくれると思うので」

――周囲からの反響は?

「テニスコートに行って僕を見て騒いでくれる人も出てきたし、テニスショップにガットの張り替えを出したら、YouTube見てますからお金はいいです、と店員に言われたり、ちゃんと払いますけどね。あと、お陰様で最近はアンチコメントが来るようになりました。最初のころはいいコメントしか来なくて、それはそれでうれしいですけど、お、アンチ来たなって(笑)。ここからが本当の勝負だと思います」

プロ選手は人に見てもらわないと仕方ない

最近はYouTubeで専門チャンネルを持つテニス選手は珍しくない。錦織圭に次ぐ日本男子トップランカーの西岡良仁が3年前に開設した「yoshi'sチャンネル」は登録者数が3万人を超え、今年6月には元デ杯日本代表の鈴木貴男と小野田倫久が「スターテニスアカデミー」というYouTubeチャンネルをスタートさせている。

なぜ、いまYouTubeなのか。斉藤はYouTubeに動画を投稿し始めた動機について、初回の動画の中で次のように語っている。

「結構前から自分の選手活動の様子をYouTubeで届けることに興味を持っていました。普段は一人で遠征に行ったり、トレーニングしたりしていますが、そういった活動は(応援してくれている)皆さんにこれまでなかなか見せることができませんでした。でも、この時代はYouTubeやSNSで届けられるので、せっかくだから僕も始めました」。

斉藤は今年でプロ生活8年目を迎えた。18歳でプロに転向し、プロ2戦目のITF昭和の森大会(賞金総額1万ドル)でいきなり優勝を果たすと、翌年の全日本選手権ではノーシードから勝ち上がってベスト4に入り、同世代の西岡らとともに若手有望選手の一人として注目を集めた。プロ3年目のITF軽井沢大会(賞金総額1万ドル)で優勝した直後にはATPランキングを自己最高位の556位まで上昇させた。だが、ツアーの連戦が続く中で左手首を故障。半年後に復帰してすぐに利き腕の右手首を痛め、再び戦線離脱した。

斉藤貴史選手

「街を歩いていたら騒がれるテニス選手がもっと増えたらいいですね」という斉藤は根っからの目立ちたがり屋だ

――右手首のケガで休んだ期間はどれくらい?

「丸2年です。試合に出られず、練習も満足にできない状態でした」

――ケガでテニスができなかった時期はどんなことを考えた?

「ケガする前は、応援してくれるみんなが僕の試合結果をSNSで見てくれていたけど、ケガして試合に出られなくなると、何も見てもらえなくなる。そのとき、プロは人に見てもらわないと仕方ないと強く感じましたね」

一時はプロ選手を辞めることも真剣に考えたという斉藤は、2017年にツアーに復帰した。そして、2018年ITF軽井沢大会(賞金総額1万ドル)で復活優勝を果たした。

国内でテニスイベントをもっと根付かせたい

斉藤は、プロ意識が人一倍強い選手だ。「僕たちプロテニスプレーヤーは多くの人に見られて評価してもらうのが仕事。見てもらわないと、いくら頑張っても仕方ない」という彼は、昨年は「小野設計TennisNEXT」(2019年4月開催)や「橋本総業HD テニスイノベーション」(2019年10月開催)、「地域活性化プロジェクト」(2019年12月開催)など、日本男子プロ選手によるエキシビションマッチやテニスクリニック、握手会などを行うイベントに参加した。

斉藤貴史選手

「グランドスラムはテニス選手ならみんな目指しているところですけど、プロテニスプレーヤーの活躍する場所はそこだけじゃないと思う」

――昨年行ったテニスイベントは斉藤選手の発案?

「そうですね。自分がアイデアを出したり企画プロデュースしたりしました。イベントもプロ選手の活動としてとても大きなことだと思いますから、そういった舞台をもっと作りたいです」

――実際にイベントを行った感想は?

「イベント自体はまだ大したことはできていません。ただ、いまの日本のテニスファンの人たちが見ている大半の試合は、グランドスラムなどの大きな大会に出ているノバク・ジョコビッチ選手や錦織圭選手など一部のトップ選手だけなんですよ。でも、国内で頑張っている選手もたくさんいますし、彼らのプレーを生で見たら絶対に楽しい。だから、このようなイベントが根付いて、国内のいろんな場所でテニスの試合をやって、お客さんが盛り上がってくれるようになったらいいなと思います」

――国内のプロ選手たちの活躍の場の一つに実業団テニスの日本リーグがあるが……。

「率直に言うともったいない。日本リーグはもっと可能性のある大会だと思いますが、僕たちがやっていることに対して盛り上がりが追いついていない気がします。昨シーズンはお陰様で所属する橋本総業HDが優勝したんですけど、決勝の三菱電気との試合は本当にどっちが勝つか分からない試合展開でした。選手はハラハラでしたけど、見ている人にとっては滅茶苦茶面白かったと思います。日本リーグは観戦無料です。それがいい、悪いは別にして、僕たちはプロなのでタダで見せるのはどうなのかな、と思います」

今後の目標について「テニス選手として一番高い舞台はグランドスラムなので、そこに行けるように日頃のトレーニングをしっかりやっていきたい。その一方で、YouTubeやイベントなどを通して、プロとしての活動の幅をもっと広げたい」と斉藤は言う。これから彼が、我々テニスファンのためにどんな見せ場を演出してくれるのか。セルフプロデュース力のある新しいタイプのプロテニスプレーヤー斉藤貴史が切り開いていく未来が楽しみだ。


斉藤貴史選手

斉藤貴史(さいとう・たかし)

1995年生まれ。石川県出身。175cm。2013年ITF昭和の森大会単優勝。2015年、2018年ITF軽井沢大会単優勝。2019年度日本リーグ優勝(シングルス出場)。橋本総業ホールディングス所属。世界ランク単798位(2020年3月16日付)。生涯獲得賞金額(単複合計)3万8128ドル。


斉藤貴史の愛用ラケット

バボラ 「ピュアアエロ」

「手首をケガした後、なかなか痛みが引かない日々が続いたときにラケットも見直そうと思って、いろいろ試してみました。このラケットはとくに弾きが良く、手や腕へ負担をあまりかけずに打ち返すことができたので、そこが気に入って使っています」(斉藤)

斉藤貴史選手の愛用ラケット:バボラ「ピュアアエロ」

斉藤貴史の愛用ウエア

ムーブ 「オリジナルウエア」

「テニスウエアは動きやすければ何でもいいっていう選手もいるけど、プロは人に見られる職業だから、カッコイイかどうかがすごく大事。これはオリジナルウエア専門のムーブというブランドのウエアです。白を入れてほしいし、目立つほうがいい、とリクエストしたらこうなりました」(斉藤)

斉藤貴史選手の愛用ウエア:ムーブ「オリジナルウエア」

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岡田洋介
2020.08.28 17:00 投稿者:
岡田洋介
1968年、群馬県生まれ。出版社でスポーツ誌の編集職を経て独立。 スポーツライターとしてテニスのグランドスラム大会等の取材活動を行うほか、ゴルフ誌やランニング誌等に寄稿する。 2005年にテニスレッスン専門の動画配信サイト『テニスストリームTV(www.tennisstream.tv)』を立ち上げ、 テニス愛好者に役立つ上達情報を配信している。趣味の百名山登山は現在20座制覇! 【編集協力】『配球とコンビネーションで勝つテニスダブルス』(学研プラス)、『白木式コアトレ ベーシックメソッド』(学研プラス)

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