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プロデビューから5年、ケガから復帰した"ポスト錦織"中川直樹が夢の実現へ向けて再始動!

2020.08.14|17:00|投稿者: 岡田洋介
プロデビューから5年、ケガから復帰した"ポスト錦織"中川直樹が夢の実現へ向けて再始動!

中川直樹は、錦織圭や西岡良仁と同じ盛田正明テニスファンドの奨学生として米国のIMGアカデミーで腕を磨いた選手だ。18歳でプロデビューした後、2度の故障で低迷の時期を過ごした未完の大器がいま、復活の時を迎えている。コロナ渦で世界ツアーが停止している中、国内で練習を続ける中川に再起にかける思いを聞いた。

再起への好スタートを切った矢先にツアー停止

今年の1月上旬、男子テニスの国別対抗戦ATPカップ(賞金総額1500万ドル)が豪州で開催された。テニスシーズンの幕開けを飾る華やかなこの大会に、日本チームの第1シングルスとして臨んだ西岡良仁は、スペインのラファエル・ナダルら各国のトップ選手と対戦しながら、開幕が近づく全豪オープンに向けて調整を進めていた。

そのATPカップと同じ週に行われたITF香港大会(賞金総額1万5000ドル)では、かつて西岡とともに"ポスト錦織"として注目を集めたプレーヤーが戦っていた。彼の名は中川直樹。右手首のケガからの再起をかけて下部ツアーを戦う中川は、冬の香港でベスト4入りし、ATPランキングを1年半ぶりに600位台まで戻してきた。

錦織や西岡が戦うトップの舞台を目指してさらにランクアップを目指すシーズンで、中川は好スタートを切った。ところが、その2カ月後に新型コロナウイルス感染防止のため、すべての男子プロテニスツアー大会が停止となった。中川も日本での自粛を余儀なくされた。

中川直樹選手

右手首の手術から4カ月後に、中川はようやくスポンジボールで軽く打てるようになった。「テニスって楽しいなって思った。そこが、また頑張ろうと思えたきっかけです」

――ケガをした右手首の痛みは?

「今は100%痛みはなくなっているので、ケガは気にせずにやっています」

――ケガから復帰後、昨シーズンは思うような結果が出ない時期もあったようだが?

「半年以上ボールを打たないと、やっぱり感覚が鈍くなります。ボールとの距離感や打点が少しずれたり。テニスは本当に少しのズレで変わってくるので、その調節が難しかったですね。また試合を離れていると試合勘が鈍ってきますから、相手との駆け引きだったり、そういう部分を取り戻すのが難しかったです」

――昨年10月のITF韓国大会(賞金総額1万5000ドル)でベスト4、そして1月の香港大会でベスト4。調子は上がってきている?

「ケガから復帰して1年くらいはもがくだろうな、と思っていたんですけど、昨年の終盤くらいからテニスが戻ってきている感覚はあります」

――1月に世界ランクを600位台まで戻してきて、よしこれから、という時期に今度は新型コロナの問題でツアーが中断したのは、かなり悔しかったのでは?

「悔しいという思いはありませんでした。自分ではどうしようもない問題なので、それに感情を左右されても意味ないなと思いました。でも、ツアー再開の予定が発表されなかった時期は、何を目標にすればいいのか、モチベーションをキープするのが難しいところはありました。早く試合をしたいですね」

あのころは人生で一番死んでいた時期だった

中川は、13歳のときに盛田正明テニスファンドの奨学選手に選ばれ、米国フロリダにあるIMGテニスアカデミーでトレーニングを積んだ。15歳で出場した一般のITFメキシコ大会(賞金総額1万ドル)でツアー初タイトルを獲り、17歳のときの全米オープンジュニアではダブルスで優勝を果たした。これは2006年全仏オープンジュニアで錦織圭がダブルス優勝して以来の快挙だった。「錦織選手に追いつき追い越すことも夢ではない選手」と周囲に評され、中川のプロ転向会見時には大勢のメディアが詰めかけた。

2015年、18歳で華々しくプロ転向した中川だったが、1年目のシーズン序盤に右ヒジを故障して1年間ツアーを離れた。ツアー復帰後、2017年にはATPランクを500位台に上げて、戦いのステージをITFツアーから1ランク上のATPチャレンジャーツアーへ移し始めた。ところが、プロ4年目の2018年5月には右手首のケガでふたたび戦線離脱し、半年間のリハビリ生活を余儀なくされた。

中川直樹選手

「テニス選手である以上、ケガは絶対つきもの。どう付き合っていくかが大事になってくる」

――2度目のケガはどんな状態だった?

「右手首の腱脱臼です。試合中に変な音がして、すごく痛くて制御が効かなくなって、それでも最後まで試合を続けて、後で医者に怒られました」

――プロ1年目は右ヒジ、そして4年目に右手首をケガ。原因は?

「(ジュニアを卒業してプロの試合に出るようになって)体の成長が追いついていなかったというのもあると思いますが、体の使い方が一番の原因だと医者には言われました。下半身や体幹がうまく使えてなくて、手でこねるような動作で打っていた。もっと体幹やお尻を使って打つようにすればいい、と最初に右ヒジをケガしたときに言われましたが、うまくできなくて……」

――プレーできない時期は精神的にも厳しかったのでは?

「プロ1年目でケガした時は復帰まで1年かかりましたけど、まだ若いし、問題なく取り戻せると思っていたので、リハビリもポジティブに取り組んでいたと思います。でも、それから2年後に右手首をケガしたときは、もうやばいなと思って、すごく落ち込みました。手術して2カ月間は(患部を)振動させたらダメなので走ることもできなかった。あの頃は人生で一番死んでいた時期、抜け殻のような感じでした」

――そこから気持ちを前向きに切り替えられたのはいつ?

「手術をして4カ月くらいで、スポンジボールで10分くらい軽く打てるようになりました。そのときに、テニスが楽しいっていう感覚が戻ってきました。テニスが好きでこの道を選んだのだから、また挑戦しようと」

――ケガをしたことでトレーニングに対する考え方は変わった?

「変わりましたね。ケガしてからはウエートトレーニングをかなり行うようになりました。2回ケガして気付くのはちょっと遅いかもしれないんですけど(笑)、でも、そこで気付けたのはよかった」

グランドスラム優勝という夢に向かってずっとやってきた

コロナ渦の6月、無観客エキシビジョンマッチ「橋本総業チャレンジテニス」が千葉県柏市で開催された。WOWOW公式YouTubeチャンネルで無料ライブ配信されたこのイベントに、中川は西岡、ダニエル太郎ら日本男子トップ選手とともに出場した。45分の制限時間内にどれだけゲームを取れるかを競う変則マッチで、初日は斉藤貴史に6-5で勝利。2日目は綿貫陽介と対戦して5-5だった。

中川直樹選手

「フォアハンドで展開して相手を動かして、攻撃していく」という中川の最大の武器、高速フォアハンド

――今回のテニスイベントはどうだった?

「実戦に近い試合は久々だったので、最初は少し緊張しましたけど、試合が一番好きなので、楽しくできました。無観客でしたけど、カメラ越しに見てもらっているという感覚はあったのでよかったです。テニス選手なら、みんな自分のプレーを見てほしいと思っていますから」

――中川選手のアピールポイントはどこ?

「僕の一番の武器はフォアハンドです。フォアハンドを使って展開し、相手を動かして、ときには前に出たり、大胆にプレーしたり、オールラウンドに戦うので、まずはフォアハンドを見てもらいたいです」

――3月のツアー中断以降、どう過ごしてきた?

「自粛期間中はウエートトレーニングのセットを買って自宅に持ち込んでジムを作って、ひたすらトレーニングをしていました。素振りはしてましたけど、ボールを打つことはしなかったですね」

――毎日テニスをやっているテニス選手がボールを打てないのは、辛かったのでは?

「僕の場合はケガで1年間ラケットを握れないときもあったので、こういう状況にも慣れていました。こんなときに何をすればいいかも分かっていたので」

――現在のATPランキングは696位。まだツアーは再開していないが、再開後の目標は?

「今年は300番台に入るという目標を立てていました。こういう状況になってしまったので、年内にそれは無理だと思うけど、再開して1年後くらいにはそこまで上げていきたいです。そして250位以内になればグランドスラム大会の予選に出るチャンスも出てくると思う。僕はグランドスラム大会で優勝するという小さいころからの夢に向かってずっとやってきたので、そこはブレずにやっていきたいです」

これまでにケガでテニスができない時期を2度乗り越えてきた。そして今年、コロナ禍でテニスができない時期を経験した。停止しているツアーが再開すれば、中川はまた世界中を転戦する生活に戻っていく。試合をしてポイントを稼ぎ、ランキングを上げて、また試合をして……。「試合が一番好き」という中川がテニス三昧の日々を取り戻したとき、錦織や西岡がいるトップの世界が大きく近づいてくるだろう。


中川直樹選手

中川直樹(なかがわ・なおき)

1996年生まれ。福岡県出身。180cm、75kg。2013年ITFメキシコ大会単優勝。2014年全米オープンジュニア複優勝。2019年ITFメキシコ大会単準優勝。橋本総業ホールディングス所属。世界ランク単696位(2020年3月16日付)。生涯獲得賞金額(単複合計)3万8519ドル。


中川直樹選手の愛用ラケット

ヨネックス 「Vコア98」

「僕がラケットに求めるのはパワーと振り抜きの良さです。このラケットは反発力があってパワーを出せる一方でしっかりスピンもかかる。そして振り抜きやすい点が気に入っています」(中川)

ヨネックス 「Vコア98」

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岡田洋介
2020.08.14 17:00 投稿者:
岡田洋介
1968年、群馬県生まれ。出版社でスポーツ誌の編集職を経て独立。 スポーツライターとしてテニスのグランドスラム大会等の取材活動を行うほか、ゴルフ誌やランニング誌等に寄稿する。 2005年にテニスレッスン専門の動画配信サイト『テニスストリームTV(www.tennisstream.tv)』を立ち上げ、 テニス愛好者に役立つ上達情報を配信している。趣味の百名山登山は現在20座制覇! 【編集協力】『配球とコンビネーションで勝つテニスダブルス』(学研プラス)、『白木式コアトレ ベーシックメソッド』(学研プラス)

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